ジンジャー研究室

長めのつぶやき。難しいことは書きません。

賞味期限が1年

このブログもまあ長いことやってるんだけど、これだけダラダラやっててもちょいちょい「○○さんが『△△』をブックマークしました」って通知が来たりする。でも、正直古い記事だと「それもう賞味期限切れてるよなー」って思うことがあって苦い気持ちになったりする。

自分の感覚としては1年経ったら大体も主張も色あせてきて、振り返ると「何々はなんとかすべきである」とか何を偉そうにのたまっとんじゃ〜という気持ちになる。いやもちろん正しいことも言ってるし、将来考えが変わることを予想して予防線を張っていたりはするんだけど。何かを主張している系の記事はどんどん気が変わってしまう。

CSS はもう全部インラインでいいだろ」 「いや、なんやかんや言って普通に CSS ファイル使うのがやりやすいわ」 「CSS ファイル膨れ上がりすぎるし書く場所を移動するのめんどい。やっぱインラインで書けばいいんじゃないか」 「CSS フレームワーク要らね」 「要らないとは言ったけど、結局は代わりに自前で似たような仕組み作らざるを得ないわ」 「View は Model の関数だよね、状態持つとか以ての外だよね」 「あーバケツリレーめんどい、状態持たせろ」 「人間は DOM から離れては生きていけないのじゃ」 「関数型最高、イミュータブル最高、手続きなんて捨ててしまえばいいね!」 「どーでもいいわ。こんなの手続きでちょろっと書けば終わりなのに何でわざわざ難しいことしてるの」 「class 普通に使うでしょ、わざわざ用意されてる便利な道具を使わない理由なんてある?」 「ボイラープレートは必要悪だ、同じことを何度も書いてもシンプルで見通しが良けりゃいいんだ」 「そこ共通化できないの最早プログラミングじゃないだろ、マクロ使わせろ」 「これが世間のベストプラクティス、みんな従うべき!」 「世間のベスプラが正解とは限らないし、守る必要なんてないでしょ」

こういうのを何度も何度も繰り返していくうちに、段々めんどくさくなってきて「適当にみんな好きなようにやればいいんじゃないの、知らんけど」になったり、「要はバランス」とでも言いたくなったりする。その場で思いついた適当なことを周囲に撒き散らしながら、自分だけは「こういう場合はこうだよね」という言語化されないバランス感覚が身につくので、まあ迷惑なやつだ。

適当なことを言ってるので適当に聞いてもらえれば良いんだけど、中には目を輝かせて聞いてくれる人が一定の割合でいて、「いやこんなの信用しなくて良いし1年後には全然違うこと言ってるよ?」という気分になってしまう。自分も web 界隈の強そうな人がなんか言うと「そうなんだ〜」ってなるけど、逆に「うるせー好きにやらせろ」って思うことも多々ある。そもそも web 界隈の平均的なプロジェクトの事情と自分の目の前にあるプロジェクトの抱える事情は違うわけで、「参考にはするけど内心は疑ってますよ」というスタンスで聞いてたりする。でも、自分がそうだからといって読者もそうとは限らないなと。ここのところはそういう主張モノを書くのはやめてしまって、なんか試しにやってみたっていう日記か、ただただ技術的に正しい事実を淡々と書いていく感じ。「あのブログにこれが良いって書いてあった」と言われると面倒だし。

じゃあ、そういう主張モノが害しかないかというと、そうは思っていなくて、みんなが色んな意見を言ってるのを聞いて上のように行ったり来たりしてるうちによりアイデアが洗練されてくるということはあるだろうし、言ってることも大体「一理ある」とは思う。誰も何も言わなくなったら、少なくともそういう考えを持った人がいるということを知る機会もなくなるし、それはそれで面白くない。

プロジェクトに採用するライブラリやアーキテクチャにしても「あの時はそれが良いと思ってたけど、試した結果イロイロ問題があることが分かったわ」みたいのがあって、「なんでこんな風になってるの?」と言っても本人も「なんでだろね、当時はそれがベストな方法と信じていたんだ」となったりする。

このアイデアの賞味期限というのは人によって違って、中には自ら 10 年前の主張をピックアップする人もいる。それだけ長い期間ブレない考察が得られるのは素直に尊敬する。真似できない。経験なのか知識なのか性格なのか、それは分からない。自分はコーディングも1分前にしていたと全く違う方法で書いてしまったりする。「さっきは関数を下にまとめるのがみやすいと思った。今は上かなと思ったから上に書いてる。」気分屋にもほどがある。でもブレないスタイルでずーっと書き続けられる人もいる。多分あれは「考えずに書くだけ」モードに入ってる。すごい。

世の中にはすごい人もいるけど自分には無理なので諦める。読者も諦めて欲しい。 ここに書くアイデアの賞味期限は1年です。