頭の固い上司(プロマネ)が新しい技術を導入することに対して消極的だったとする。曰く「一体それに何のメリットがあるんだ。リスクを考えたのか。やたらめったら怪しげなものを投入するんじゃない!」
しかしあなたはこの上司をなんとか説得して、素晴らしい技術を現場に導入したい。
そんな時どうするか。ここに自分なりの意見を書こうと思う。
事前準備編
普段から信頼を得ておく
これが一番重要だ。「この人が言うならそうなんだろう」と思わせたらスムーズに事が運ぶだろう。しかし当たり前だが一朝一夕に出来ることではない。
別の場所で実績を作っておく
これも説得力があるが、簡単ではない。
「メリット・デメリットを考えて冷静に判断できる人」を普段から演出しておく
「この人はメリットばかりを見てデメリットも含めてちゃんと考えていないんじゃないか」という疑念を払拭するために、キャラを作っておく。
説得編
必要性を相手にとって身近な具体例で説明する
現段階で上司はその技術の必要性を認識していない。別に困ってないからわざわざアクションを起こす必要が無いと思っている。そこで「例えばこの間こういう事態になったじゃないですか」と、なるべく具体的な例で説明する。ここで理論的な説明(例えば「○○率が上がると××の確率はこの割合で上昇する」など)をしてはいけない。「そんなのは机上の空論で現実を踏まえていない」と思われて逆効果だ。
「相手にとって身近」というのも重要だ。全く興味の無いメリットを説かれてもピンと来ないし、むしろその人にとっては重要度が低いので「こいつはこんな些細な事のために全体のことをろくに考えずに…」と思われてしまう。
道具の特徴を網羅的に述べない
目的の技術の長所をひたすら並べても響かない。道具を使いたいだけじゃないかという印象を与えてしまう。
相手にとって一番響くポイントに限定すると良い。
相手の使っている技術を否定しない
「オブジェクト指向なんて糞じゃん」等と言わない。
デメリットを指摘されたらちゃんと聴く
「でもこれこういうデメリットがあるじゃない?」と必ず言われるが、黙って言うことを聴こう。間違っても話を途中でさえぎって「いやその場合にはこう出来るし、そもそもそんなことを言い始めたら…」と早口で反論してはいけない。
とりあえず一度は頷いて「確かにそれはそうですねー」等と相槌を打っておく。こちらが分からないことがあれば質問しても良いし、部分的に正しいことを言われるはずなので素直にそこは賛同しておく。「彼は自分の意見も真摯に受け止めてまともに考えてくれている」感を演出しよう。
怖くないことをアピールする
見たことのないもの、触れた事のないものは誰だって怖いものだ。
そこで実際にそれが動作している画面なりコードなりを見せることで、何もないよりも安心感を持たせることが可能だ。見せるもの、例えばコードは、なるべく直感的に理解できそうなものをチョイスし、習得コストの低さをアピールする。「これならできそうだ」感が重要だ。
モヒカン臭を抑える
「お前には扱えるかもしれないが…」と思われてしまうことは避けなければいけない。
既にモヒカン臭を獲得してしまった人は、無臭な人に使い方を教えてみて、その人でも普通に扱えていることを説得材料にすると良い。
楽しさ・かっこよさ・幸せさを演出する
理屈ではなく感覚に訴える。
例えばGitの導入なら「Git使っている人は楽しそうだなー。カッコイイなー」と思わせる。「この前書いたコードなんだけど見てよ、GitHubに置いてるんだけどさ」等という普段からのさりげないアピールも有効だ。
気付いた頃には上司も「俺も使えるようになっちゃったもんね」とか言い出すはずだ。
「みんなやってるよ」はさり気なく
もしメジャーな技術であるに関わらず上司がそれを知らないのだとしたら、さり気なく「世の中ではこんなに使われている・実績がある」を教えると良い。インパクトのあるチャートも重要だ。
しかしあまりここを強く主張すると流されやすい人の烙印を押されてしまう。「だから何だ、ウチは関係ない」とならないように注意しよう。
予測できない部分については「やってみないと分からない」で押し切る
ある程度まで議論が進んだところで「それで本当にいけるのかなぁ?」と言い出すとは思うが、これ以上は議論しても答えが出ない事は相手も承知のはずなので「ちょっとそれはやってみないと分からないですねー」等と言っておけば、「まぁノウハウを溜める意味でも一度やってみるか」と言ってOKしてくれるだろう。
番外編
こっそり導入してみる
害がなければこっそり導入するのも手だ。「テストですか?Jenkinsで毎日回ってますが何か?」
最後に
色んな勉強会のLTでこういう発表があるので、あるあるネタなんだろうということで書いてみた。
こうしてみると、新技術の導入はほとんど心理戦だということが分かる。
まぁ、こんな回りくどい手を使わなくても、偉い人ポジションを獲得すれば鶴の一声なのだろうが。